27MHz AMラジコン


  特に、室内で運転するようなラジコン回路は、微弱な電波をも高感度に受信し、かつ、水晶発振によって周波数が安定していなければならない。 また、スーパーヘテロダイン方式をトランジスタのみで作製すると、重量が増え かさばってくる問題がある。 ここで、AMラジオICの LA1600(三洋)がこれらの要望に答えるラジコン通信にうってつけの半導体(しかも 量産機種として安価)として、コンパクトなAMラジコン回路に用いることができた。(LA1600は MW帯で用いられるよう設計されているが、HF帯でも使用可能)
  また、受信した信号の解析には、(赤外線通信とは異なり、)ノイズや変動に強く、かつ、本来の目的である 出力が連続変化するサーボ機構に対応する ”サンプリング方式”(通常、ラジコン通信で行なわれている方式)で行なうことを目標とする。



  1. 27M帯 水晶発振AMパルス変調 送信器の作成


  発振は CBピアース発振回路による 27MHzの水晶発振(今回は 27.000MHz、HC49US型)とし、2SK241Yを用いて、次の 2SC1906 を駆動するためにかなり強力に発振させた。
  発振回路定数(CやR)、結合コンデンサー、2SC1906のベース・バイアスなどは かなり細かいカット・アンド・トライで決めた。コアの調整はややクリチカルで注意を要する。(この場合、同調回路の調整が前後にずれると 27.328MHzの副発振の状態となり 通信はアウトになる)
  コイルは図のように 10mm角シールド・コイル・ボビンセットによる手巻きで作製した(同調側のL=1.5〜1.6μH)が、FCZコイルの25MHz程度の物を用いても良い。(* FCZ28MHzでは C=33pF程度になる。因みに、流通している7mm角の製品はコア溝がばかになりやすいので使わないほうが良い。)

  AMパルス変調は、2SC1906 のコレクタ電流を 2SC1815に直結し スイッチング(断続)して行なった。
  パルス信号の発生には PIC12F675を用い、4つのタクトスイッチによる独立入力を考え、また、電池の省電力を考え スイッチを押すたびに 電源が入ると同時にPICに入力(抵抗分割により 4〜4.5V)するようにした。
  電源電圧を一定にするために、78L075(7.5V)などのレギュレーターを入れたほうが良いと思われる。
  また、アンテナに用いた φ0.7mmのステンレスワイヤは、安全のために先端を丸める。

 



  2. 27M帯 AM受信部の作製:


  AM受信には、HF帯まで使えて、水晶発振局発入力ができる AMラジオIC: LA1600 (三洋)を用いた。 このICは、(LC発振ができるのと同時に、)水晶による局部発振を受けることができ、外部 I FT (中間周波トランス、455kHz)と セラミック・フィルタを経て戻り、AF信号を出力する。 LA1600の受信感度は非常に良好で、プリアンプのFETは必要ないほどである。また、AGC(オートマチック・ゲイン・コントロール)がかかるので、弱い電界強度でも割合安定して増幅し、ラジコンに適していて、上記の送信器との 2m〜5m程度の通信で安定した波形が得られた。2m以内では急に出力が強くなる。

  局発の水晶発振回路には トランジスタを用いた CBピアース回路を用いたので、LC同調回路のコンデンサーはかなり大きめ(39pF、同調周波数が1/√2倍程度)にした。Cが18pFでは発振しない。 出力は弱くて済むので 2SC2347を用いた。(* FCZ28MHzコイルを用いると C=47pにもなる)
  水晶の振動周波数の差は、 27.000MHz(送信) − 26.540MHz(受信) = 460kHz であり、455kHz I FT で充分余裕をもって調整できた。ただし、調整はかなりクリチカル。(* I FT3本組のナロー化の順は 黄 → 白 → 黒 で、黄色コアが一番広いが、一応 どれでも良い) セラミック・フィルタ(SFU455B462±2kHz中心)はさらに帯域を狭めるのに用いられる。
  水晶の組み合わせは、27MHz近辺で 差が455〜460kHz程度になるものならば何でも良い。(* 27.225−26.770MHz、 27.175−26.720MHzなどのペアでは、差が455kHzなので、SFU455A(455±2kHz)を用いる)

 

  



  3. コンパレータ・制御部の作製:


  AM受信部からの min5〜10mV程度の信号を5V以上に増幅するために、最初は、オペアンプの反転増幅を2つつなげた増幅器を実験したが、トータル2500倍にもなると、ノイズも1V以上に増幅され、さらに発振してしまった。 そこで、オペアンプを用いた コンパレータ > V のとき出力7〜8Vが出る。ツェナー・ダイオード RD5.1Eで約5Vにカット)として、その参照電圧)を 抵抗分割により 5〜10mV程度とした。(回路の半固定抵抗で 50kΩあたり) 結果は、2〜3m以内の距離の通信で、5Vの きれいな方形波信号が出力された。ためしに付けてみた PIC16F628A 受信器のLEDが光った。 これ以上離すと、方形波のH側にマイナス・ノイズが入るので、この影響を受けないプログラムにする必要がある。

  AM受信部の感度は、プリアンプが無い方が良いので、プリアンプ部を取り除いて、アンテナ同調コイルから直接 LA1600に信号を取り込むことにした。 これは、LA1600が、一般的な小電力FETよりも、微弱な信号を捕らえることに優れていることを表している。

  ここでは、制御部は PIC16F628Aを用い、出力部にはモータードライバーを用い、単純なON−OFF制御にした。((参照) (2) モーターコントロール回路







   ● 入力アンプ改良型: (2014 3) ・・・・・ 受信感度UP

 



  4. PICプログラムの作製:


  (1) モーター・コントロール回路との接続と ノイズ対策:

  ラジコンで動かすのは、(上面がフラットで加工しやすいため、また、スピードが遅く 走行範囲が狭い)走行模型の”インセクト(タミヤ製)”を用いた。

  電源系統は、トータル3つ(3V: AM受信器用、 3V: モーター駆動用、 9V: (そのまま)オペアンプ用、(5Vにして)PICとモーターコントローラ制御用)になる。 AM受信機用には、モーターからの急激な電圧変化やノイズの影響を受けないように別に3V電源を用意した。

  この2個のモーターには ブラシ・モーター(マブチモーター)が使われているので、ノイズが問題となる。 (LED点灯や リレー、ブラシレスモーターでは問題ない) モーター・ノイズ対策として、各端子とモーター外枠を 0.1μFのコンデンサーでつなぎ、さらに外枠を基板にアースした。


  (2) サンプリング方式のプログラム:

    @ 送信器:  送信器の信号は、まず リーダを置き、データは H が長い方を 1 として、それぞれ順番に、4つある各SWと対応させて、単純な方形波信号とした。SWを押している間繰り返し送信するので ストップビットは無い。
  また、省電力のため、各SWを押すたびに電源が入るようにした。SWは約4.5Vの H入力をPICに与えるので、PIC12F675への入力信号は正論理となり、汎用ポート(GP0〜3)は プルアップしない設定となる。( 注) F675 のGP3 だけは、内部プルアップ不可)
 

    A 受信器:  上記のノイズ対策をしたが、それでも、モーター駆動時のPIC入力波形をオシロで見ると、かなりのプラス・ノイズ(LからHへの細いノイズ)が乗っていたので、”サンプリング方式”で行なうしかない事になる。これは、短い時間間隔中の H状態の数 をトータルした「個数」を記録するもので、その数 n がある数値以上ならばモーター・ドライバに出力を出す仕組みである。もし、そのまま TMR0で L、Hの「時間」を測定すると、ノイズのため測定が切れ 誤動作する。(* ノイズが入る危険がほとんど無い赤外線通信(38kHz変調)の場合は、この方法を用いることができた) また、通信距離が離れると、H から0に落ちる マイナス・ノイズが増え、最初のリーダ待ちの時間測定のときに リーダの読み落としを生じて 駆動頻度が減るが、5m程度までならば使用可能だった。

  受信信号のタイミングの調整はノイズのためかかなり微妙で、リーダ待ちループ、while(h==0)後の 待ち時間に150〜160(while(TMR0<150))も取って、全体の信号を取り込むことができた。(おそらく、PICがノイズの影響を受けて速く進むためと考えられる)
  (因みに、送信機のスイッチを複数同時に押すと、優先順が後のもの優先(SW4、SW3、SW2、SW1の順に優先)であるはずが、実際には複数混じった動作となった。)
  

    B 送信器のプログラム:

 
  ・ 注) マイクロチップ社は仕様を頻繁に変えるため、最近のHI-TECH Cコンパイラ MPLAB IDE Ver8.66(HI-TECH Ver9.81)以降では PIC16、12などは文法が一部変更され、OPTIONなどは使えない。以前の書式のプログラムを使う場合は、ヘッダの部分に追加が必要
   ・・・・ 先頭の #include <pic.h> を消して、先頭に #define _LEGACY_HEADERS、 #include <htc.h> を追加する。


  ● ソース


     C 受信器のプログラム:

    
  ・ 注) マイクロチップ社は仕様を頻繁に変えるため、最近のHI-TECH Cコンパイラ MPLAB IDE Ver8.66(HI-TECH Ver9.81)以降では PIC16、12などは文法が一部変更され、OPTIONなどは使えない。以前の書式のプログラムを使う場合は、ヘッダの部分に追加が必要
   ・・・・ 先頭の #include <pic.h> を消して、先頭に #define _LEGACY_HEADERS、 #include <htc.h> を追加する。


  ● ソース



  *  通常用いられているラジコン信号は、リーダ無しで、入力の強度に応じた各チャンネル幅を 順番につないで送信・受信している。これによって、ジョイスティックなどによるアナログ入力を、受信機側の サーボ機構に出力することができる。
      

  ** 電波の飛距離を10m、20mに伸ばすためには、単純に送信器のパワーをもう少しUPすれば良いが、電波法に引っかからないよう注意が必要。( ラジヘリ等では、当たり障りの無い2.4GHz帯が用いられている。)



  ● 上記(1.)の送信器では、 終段 2SC1906 を 2SC2053出力100mW、足・下・左からB、C、E)に付け替え、ベースバイアスを 2.2kΩ-150Ωで与えると、5m以上届くようになった。
  また、受信器は、5Vレギュレーターの後に 3.3Vレギュレーター(3.3V50mA)を入れて、電源を9Vに統一した。(モーター用電源3Vはそのまま)





   §  水晶の不思議と 内なる聖霊様の働きについて:


     「御使いはまた、私に 水晶のように光る いのちの水の川 を見せた。 それは 神と 小羊 との御座から流れ出て、都の大通りの中央を流れていた。 川の両岸には、いのちの木 があって、十二種の実がなり、毎月、実ができた。 また、その木の葉は諸国の民をいやした。」(ヨハネの黙示録21:1、2)



  水晶振動子の発明は、私たちの生活全般において、非常に多大な恩恵をもたらしました。 板厚に応じて非常に安定した共振周波数を発現するという特性は、デジタル、アナログ機器、ラジオ・TV、通信機器、時計、その他、考え付くあらゆる電子工学の分野で、必要欠くべからざるものとなっています。 水晶発振子が存在するがゆえに、健全な日常生活が成り立っている、と言っても過言ではありません。

  水晶発振子は、電気軸に垂直に、平行に切断された水晶片に電極を付けた構造ですが、その電極間に交流電圧をかけると 機械的な振動が発生し、その超音波が水晶片の板厚方向に行き来して、板厚に比例した周期の振動と共振します。
  水晶の熱膨張係数はほとんど0であり、適度な電歪係数を持ち、環境によって材質が変化しないので、非常に安定した共振周波数を保ちます。そして、この加工精度が水晶の振動数の精度に直結します。

  トランジスタ回路で水晶発振を行なうためには、CBピアース回路と、EBピアース回路があります。
  CBピアース回路の発振条件は、水晶のリアクタンスが誘導性のとき発振し、このとき、同調回路は容量性になる必要から、発振周波数よりも低く設定します。 したがって、このCBピアース発振回路は、LC発振の コルピッツ発振回路において、水晶発振子を L(インダクタンス)とみなした場合に相当します。
  また、EBピアース発振回路では、ハートレー発振回路で 水晶を C(キャパシタンス)とみなした場合に相当します。

  このように、電気的に見ると、水晶という硬い”石”が、発振回路では、似ても似つかないインダクタンスやキャパシタンスになるという、非常に不思議な現象が起こります。水晶は、電子工学の、ひいては、私たちの日常生活の「いのち」と言っても良いと思われます。



     「わたしを信じる者は、聖書が言っているように、その人の腹から、生ける水の川が流れ出るようになる。」(ヨハネ7:38)

     「わたしの羊は、わたしの声を聞き分けます」(ヨハネ10:26)

     「あなたがたが耳もとで聞くことを、屋上で言い広めなさい。」(マタイ10:27)


  また、スーパーヘテロダイン方式の受信機については、「内なる聖霊様」によって「主の御声」をとらえることを連想させます。

  すなわち、情報を乗せて発射されている電波が「主の御声」水晶発振による局部発振が「内なる聖霊様の働き」であって、多くの”雑音”が共に存在する 現在の「困難な時代」にあっても、「聖霊様」によって 正確に「主」からの情報を聞き取ることができます。 中間周波数のフィルタは、「みことば」によって私たちが整えられ、「主の御声」を聞き分けることができるための霊性です。 そして、この「主」からの情報を、さらに、内側の「霊性」によって正確に処理し、「聞き従い」という「行動」に出ることができます。




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